橋の中心が輝きだした。とたん、向こう側が歪み、別の風景に変わる。
黒と白のハクは見た。橋の向こうにいる、白い竜と、よく見知った娘の顔を、竜と寄り添う娘は、彼らが知っている彼女よりも幾分歳を重ねた様子で少し大人びていたが、その背景、油屋によく似たそこに、並んで立っている。
千尋とハクは見た。橋の向こうにいる、二人の青年を。かたや人、かたや、人の姿をとり、黒い衣に身を包んではいるが、とりまく気は同質のもの。千尋のよく見知ったその世界とおぼしき鉄の橋のたもとに、並んで立っている。
立ち上がると、女雛が一度振り向いて、何か言ったようだったが、光の奔流に巻き込まれて、志摩子達の耳には届かなかった。
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