BlueFrogPrince -あるいは青蛙の憂鬱-

■油屋に正体不明の青年現われるとのこと

帳場のハク様はいつも以上にテキパキと、まさに鬼神のごとく仕事を処理している。
先日、油屋の休館日に帰っていった人の娘を追いかけたくてたまらないのだが、当面の仕事が大層溜まっているためだ。
見送りに行ったその足で湯婆婆へ掛け合いに行き、壮絶な口論(その怒声、魔法の余波で油屋は震えるほどだった)の末、契約については見直しが図られたが、当面の引継ぎ業務については湯婆婆の言い分が勝ち、結果ハク様はいままでに無い勢いで仕事をこなす事になったのだ。

だから、湯女から、カエル男の一人から青蛙の姿が見えないという報告をもらっても特にとりあう事も無く、見慣れない男神がふらりと現われ、金を持たないとなると追い出されてしまった事なども、関わっているわけにはいかなかったのだ。

パチパチと、そろばんをはじく音が帳場に響き、触らぬハク様にたたりなしという事を良く知っている帳場の皆々は黙ってハク様を見守る事しかしなかったのでありました。

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