BlueFrogPrince -あるいは青蛙の憂鬱-

■序

今日もハク様に怒られてしまった……、とぼとぼと、大部屋の布団へ向かう青蛙は明けの明星を仰ぎ見た。
薄明の空にひときわあざやかに浮かぶ星に、せめてもう少し、ものの役にはたてないかと祈る。
青蛙の仕事場は帳場だが、いつも上司のハク様に怒られてばかり。先日は意地汚く砂金に手を出そうとしてカオナシに飲まれて死ぬ思いをしたばかりだった。その上、 湯女達にも、カオナシ臭いと数日煙たがられて、青蛙としては立つ瀬が無く、居心地の悪い日々が続いている。

見返したい、という思いがないではなかったけれど、他に行くところのない青蛙としては、せめてもう少し仕事の役に立ちたいと、願わずにはいられない。

だからお星様、ハク様のような明晰な頭脳と風貌を、湯婆婆様のような力を、望むことは、自分には過ぎた望みなのでしょうか?

いつの間にか祈るようにして、青蛙は明星をみつめた。

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